全国農業新聞 令和2年2月28日付 寄稿記事
Q. 農業界においても「働き方改革」がさけばれていますが、実際のところ農業における働き方改革とは何なのでしょうか。改正される法律は、農業に無関係な法律ばかりに思えますし、農業における働き方改革、何に取り組めればよいのでしょう。
A. まず、農業において無関係な改正ばかりではなく、有給休暇の付与などについては、農業においても除外された改正ではないことは認識してください。
その上で、働き方改革の目指すところは労働力人口の減少や育児や介護との両立など労働者の多様なニーズに合わせた働き方が提案できる社会を実現することで、個人が将来に展望がもてる社会を実現すること、とされています。ただ、雇う側からすると事業そのものの生産性向上が伴わないと取り組むことは難しい。働く環境を整備し、一人ひとりの能力を最大限に活用できる仕組み、というと言葉の聞こえはいいが、実際にはどう取り組めばいいのか、労働時間など適用除外になっている農業界においては難しいのではないかと考えます。
そこで、私は今話題のGAPに取り組むことが働き方改革につながると考えています。農業の働き方改革は、まずGAPからです。GAPは生産工程管理の仕組みで、非効率な作業を効率化させる仕組みを定着させること。
また、各分野に責任者を置くことで、組織形成を促すことができる。以前に、「ハサミをしっかりと同じ場所に片づけていますか?探しているだけで5分費やしていませんか?」と書いたことがあります。そのときにも書きましたが、GAPの仕組みを取り入れることは生産効率を上げること、それが農業における働き方改革につながるものです。
と考えると、農業における働き方改革は世の中で言われている労働者に向けた改革ではないことはわかっていただけると思います。つまり、毎日の農作業を効率化する仕組みは、個人農家にもあてはまります。GAPは個人農家の働き方改革にも通じるものです。生産効率を考えるということは、コスト意識を定着させるということ、つまり、原価に目を向けるということになります。
農業の働き方改革とは、単純に働き方を変えるだけではなく、「農業」を事業としてとらえる考えを植えつけるものでもあります。
下の画像が6月7日、上の画像が今日。
大きくなりました。(笑)
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