前回の記事からずいぶんと空いてしまい、失礼しました。書こう書こうと思いながら、年が明けてしまいました。
皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
昨年は、一昨年よりも研修の数は減ったものの、先月だけで8回ほど研修講師をさせていただきました。月から木まで、4日連続なんて週もあり、ありがたい限りです。
ただ、内容的には、ほぼ同じような内容の研修がほとんどで、「雇入れにあたって」という新規雇用に向けての依頼が数年続いています。おそらく、まだまだ必要なのだと、今年も気合をいれます。
さて、前回、副業の受け入れという話をして、次回以降・・・ということで終えました。
なぜ、農業への副業が話題となっているのでしょうか。
いつも話しているとおり、農業には作物を生産するだけの機能ではなく、副次的なものが多くあります。それが、外で作業して植物に触れる「リフレッシュ効果」や、未体験のことを体験する(言葉は大そうですが)「異次元体験」。また、一人でできる作業もあれば、みんなで力を合わせる作業もあり、いつもは違った「コミュニケーション」をとる効果もあります。さらに、前回も最後に書いた労働時間の通算をする必要がない、これが非常に大きなポイントです。
一方、受け入れる側の農業においては、何といっても「人手不足」。さらに、繁閑が非常に激しく、周年雇用はできないが、(例えば)収穫作業の時期だけお願いしたい・・というニーズにマッチしているからです。また、労働時間を通算する必要がないので、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の重要な部分が対象外となっています。(基発0901第3号 令和2年9月1日)
ただ、農業において、通算した労働時間(受け入れる側の農業者からすれば、主たる事業で働かれている労働時間との通算した労働時間)の把握は、本当に必要ないのでしょうか。
そんなことはありません。
まず、ガイドラインにおいても「過労等により業務に支障を来たさないようにする観点から、その者からの申告等により就業時間を把握すること等を通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましい」とされています。さらに、労働契約法第5条による安全配慮義務「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」は、副業として受け入れる農業においても義務とされます。
また、兼業・副業を国が認める方向に動き出したことで労災保険も2020年9月より改正が行われ、複数事業労働者として「1つの会社の負荷の状況では、労災認定されない場合は、複数の会社での負荷状況を総合的に評価して、労災認定の判断がされるようになりました。」 ここに、「農業だから」「通算されないから」ということはありません。
つまり、労働時間の通算をしなくてもよい農業だからといって、労働者の安全に配慮しなくてよいというわけではありません。
月曜日から金曜日まで、しっかりと働いた労働者が、リフレッシュの気持ちで副業として農業をする。でも、雇う側はがっつりと労働力として期待する。
このような少しの意識の違い、農業において、よく見てきました。
「労働時間の把握」は、単に形式的なものではなく、「安全配慮の一環」であることとの認識の上で受け入れ、兼業・副業として農業の副次的な部分を大いに活用されることはいいことだと思います。
今年の正月3が日で読んだ本。(紙の月は2回目)
「紙の月」「蟻の菜園」、どちらもタイトルがええです。。いや、中身も面白いでけど。
「コンプライアンスリスクに対するリテラシーの高い組織をつくる」・・・なんて長いタイトル。今年は、こういう方向からも農業支援させていただければと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いします。
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