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  • 執筆者の写真將詞 橋本

農業における)賃金の考え方②

全国農業新聞 令和2年6月最終週寄稿記事


Q.弊社は、正規従業員5名、アルバイト15名にて農業経営しております。従業員も10年近いものから今年入社したものと、年齢は様々ですが、いわゆる上下関係ができてきました。今まで賃金は、私の独断で決定していたのですが、結婚している、子どもがいるなどと事情を考えると会社での上下関係にそぐわない賃金になりかけており、このままではいけないと思い始めました。どのように考えればいいでしょうか。



A.賃金の質問は、ここ数年本当に多くの農業経営者が迷われているところだと思います。現に賃金に関する相談は急激に増えています。その多くが質問者のように、今までは社長の頭の中だけで決めてきたものが、組織の中の上下関係、農業経験、年齢などに合致しないものになるケースです。


 例えば、18歳から自社におられ農業経験を積まれた25歳の方、農業に興味をもって他産業から農業界に初めて入られた38歳の方、それぞれどのように賃金を決めるでしょうか。


非常に難しいところです。


 まずそこで最初に考えていただきたいのは、社長の考えはどうなのかということです。


 例えば、38歳で結婚し中学生の子どもがいる従業員を賃金として生活できる金額を保障しようと考えておられるのか、それとも仕事を覚えないとそこまでの賃金を支払えないと考えるのか。言ってみれば、賃金は、どのようにも設計することができます。色んな想いを反映させることができるのです。ただ、そのために、社長の考えがしっかりとかたまっていないと従業員に提示できるような賃金制度を作ることは難しいのが現実です。



 そして、そもそも「賃金」は何か・・という点で、知っておいていただきことが何点かあります。


①賃金は、従業員が社会生活で一般的な生活ができる程度の水準であること。1日の大半(睡眠以外の大半を会社で過ごすことになります、当然、他に何もできないとなると、もらう賃金で生活できないと困ります。)


②その従業員の業務が、健康上の危険度、必要な知識、技能などに見合ったものであること。

(従業員がもつ経験、リスクを伴う作業、技能を有した者しかできない・・となると特殊性が必要となる、その方しかできないとなると、相応の評価が必要です。)


③会社の人件費支払い能力に応じたものであること。

(そもそも、払える余力の中でしか支払うことはできません)


④会社の付加価値を応分しているものであること。

(生み出した価値を応分に分配することが、公平さを保つこととなります)



 賃金は、会社にとってある意味コスト(経費)と考えてしまいますが、従業員にとっては生活のために必要不可欠であり、1日の大半の時間を費やす対価としてもらっているものです。どちらからの視点からということではなく、両面からみた考え方が必要です。




 

前年度、受講した労働政策研究・研修機構の東京労働大学の修了通知が届きました。


ここ数年、頭はついていかないのに、学ぶことへの意欲が増してます。

大学のときに、エルビスばっかり聴かずに、もっと勉強していたら・・・ということをこの4月から大学に行く息子にいうのは無駄とわかっているので言いません。(笑)





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